
谷原 菜摘子
Natsuko Tanihara
略歴
1989年埼玉県生まれ。
2016年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了、2021年京都市立芸術大学美術研究科博士(後期)課程美術専攻(絵画)修了。
2014年公益財団法人佐藤国際文化育英財団第24期奨学生、2015年第7回絹谷幸二賞、2015年京展・京都市美術館賞、2016年VOCA奨励賞、2018年京都市芸術新人賞、2021年第39回京都府文化賞奨励賞、梅原賞(京都市立芸術大学)、2022年令和3年度咲くやこの花賞 美術部門[現代美術]などを受賞。黒や赤のベルベットを支持体に、油彩やアクリルのほかにグリッターやスパンコール、金属粉なども駆使して描く。
2017年五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、2017年秋〜2018年秋の1年間、旧五島記念文化財団の助成によりフランス・パリへ研修滞在。
関西を拠点に制作活動を行なっている。
近年の主な展覧会に、個展「五島記念文化賞美術新人賞研修帰国記念 谷原菜摘子展 うきよの画家/紙の上のお城」(上野の森美術館ギャラリー、MEM、2021年)、「咲くやこの花賞受賞記念展示谷原菜摘子の北加賀屋奇譚」(CCOクリエイティブセンター大阪、千鳥文化、2023年)、「ARKO 2023谷原菜摘子」(大原美術館、2023年)など。
ステイトメント/作品コンセプト
私は現実ではありえない不可思議な世界を描いていますが、それは現実からの延長線上にあるものであり、決してこの世界と剥離したものではありません。そのため荒唐無稽な状況を作品内で設定しながらも、細部のモチーフに説得力と現実感を持たせることが重要であると考えています。
本作は、2021年より参加した「ないじぇる芸術共創ラボ」のレジデンスを機に古典籍『西山物語』を紐解き、「かへ」という登場人物に焦点を当て構成した作品です。
『西山物語』では次々と怪異が起きます。首が糸のようにしなる女や、楠木正成の霊が現れ、家中を跋扈しますが、主人公七郎は平然としています。襖には殺されたかへの物語を画中画として描きました。