末松 由華利 展

- 何処か遠くで起きたこと -

YUKARI SUEMATSU Solo Show - Something Somewhere Far Away

【作家による個展ステイトメント】

他者や物事を「自分とは無関係だ」と線引きしては、「無関係」という領域に押し込み、そこに近づかないようにして、安心感を得る。日常でほとんど無意識になされる、このような操作について、改めて考えてみたいと思った。

線の向こう側に追いやったものは、本当に無関係なものだったのか。線のこちら側に居れば本当に安心していられるのだろうか。そもそもこの線引きは意味のあることなのだろうかー。

会場内には絵画の他に、砂で引かれた一本の線 [ライン] をインスタレーション作品として展示する。日常の中で、私たちはどのような線 [ライン] に出会い、どのように関わっているのか。この線 [ライン] のあちら側とこちら側を行き来しながら、そのことについて考えを巡らせてみて欲しい。

自信の疑問と考察が、他の誰かにとっても、何かを考える時の手がかりになることを願っている。

末松由華利

会期
2023年5月3日(水)〜5月27日(土)
休(日.月.火) 営業11:00〜18:00
※ 5/14(日)営業


末松由華利は多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、シェル美術賞2017島敦彦審 査員賞受賞、東京オペラシティアートギャラリーproject Nに選出された気鋭の画家です。

 アクリル絵具のにじみやぼかし、色彩の重なり合いの効果を極めて精妙に用いながら、抽象的な画面を生み出します。

本展では末松の絵画の重要な要素である「言葉とタイトル」に注目します。末松は絵画制作に入る前に描くテーマを注意深く推敲した「タイトル」を先に決定した後、絵画制作に入ります。

絵画が完成した後にタイトルを付けるのが一般的ですが、末松は逆のアプローチを取る事で絵画で未明のテーマを探る過程を省き、設定されたテーマの心理的側面をダイレクトに抽象化する事に成功しています。

また本展では創作の初期段階で推敲された「言葉」と完成された「タイトル」を重要な作品 要素として展示します。過去作を厳選した二部屋と、新作絵画と参加型インスタレーションで 構成した一部屋の計3つのスペースで新旧約22点を展示致します。

末松由華利の特異な言葉と絵画、インスタレーションによる未知の絵画体験を是非会場でご高覧下さい。

末松 由華利 profile

2010 多摩美術大学美術学部絵画科 油画専攻 卒業

【主な展示歴】

2023 末松由華利展 - 何処か遠くで起きたこと - / ASTER(石川)
2022 Yukari SUEMATSU -Visions of a Torn World- / Arteles CreaOve Center(フィンランド) 2021 清須市第 10 回はるひ絵画トリエンナーレ/清須市はるひ美術館(愛知)
2020 ホルベイン・スカラシップ成果展/佐藤美術館(東京)
2019 projectN76 末松由華利/東京オペラシティアートギャラリー(東京)
2017 末松由華利展 - 輪の中で考えたこと - /⻑野市芸術館(⻑野)

【受賞】

2022 sanwacompany Art Award/Art in The House 2022 /株式会社サンワカンパニー
2019 第 33 回ホルベイン・スカラシップ奨学生/ホルベイン画材株式会社
2017 島敦彦(金 沢 21 世紀美術館館⻑)審査員賞/シェル美術賞 2017
2014 新潟商工会議所特別賞/
2014 NIIGATA オフィス・アート・ストリート
2008 藤本幸三(エルメスジャポン)審査 員特別奨励賞/ via art2008 

末松由華利は、個人や社会が持つ両極性を テーマに活動する作家 である。作家は自身の手記を基に、個人的かつ具体的な出来事を、 この世に生きる誰もが出会う人生の諸局面として変換し、描き出すことで、作品を通じた 鑑賞者との対話を試みる。 本展は、私たちが日常の中で無意識に、他者や物事を「自分とは関係が無い」と線を引き、「無関係」という領域に押し込める瞬間や、処理してきたものについて描出された作品で構成され る。 それは本当に『何処か遠くで起きたこと』な のだろうか。作家からの問いかけは、私たちの思考や記憶を喚起する。

作家在廊予定

5/3 11:00-18:00 5/4 11:00-14:00 5/14 11:00-14:00
5/26 15:00-18:00 5/27 11:00-18:00